情報労連実施の「2021 ITエンジニアの労働実態調査」から・・・【パート①】『年齢別・企業タイプ別の賃金モデル』を見てみよう!

統計

調査結果を政策の確立につなげていく

情報労連で毎年取り組んでいる「ITエンジニアの労働実態調査」の結果報告書からの解説です。

この「ITエンジニアの労働実態調査」は、古くは1993年に初回がスタートしていますが、情報サービス産業における賃金をはじめとした労働条件や業界特有の諸課題などを把握し、産業の健全な発展に向けた政策の確立につなげていくことを目的にしています。

1993年から続けている調査、今回は2年ぶり

この調査は企業調査として、情報サービス業(インターネット付随業含む)を営む企業に幅広く呼び掛けして、ご協力いただいています。

調査内容は、賃金、一時金、労働時間、経営課題などをテーマとした継続して聞いている調査と、その時々において特別なテーマを選定する調査も実施しています。

2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年の調査は中止しましたが、2021年は2年ぶりの調査として、特別テーマ調査を「新型コロナウイルス感染症と経営」としました。

230社の企業が回答!

今回の2021年調査では、230社の回答となりました。2010年調査からキープしてきた300社超えの回答数には届きませんでしたが、WEBサイトご覧の企業さまには、引き続きのご理解・ご協力をお願いします。

大卒モデル35歳の所定内賃金「32万円」

それでは継続的に調査している「賃金」について見てみましょう。

まずは、大卒モデルの所定内賃金(通勤手当除く)ですが、22歳で「21万3,690円」、35歳で「31万9,924円」、45歳で「39万4,898円」、50歳で「42万2,416円」となり、ピークの50歳で「43万円」となりました(図表1)。

また、22歳の水準を「100」とした場合の指数をみると、35歳で「150」、45歳で「185」、ピークの55歳で「201」となりました。

WEBサイトをご覧の皆さん自身、お勤めの企業と比べていかがでしょうか。

多重下請け構造の低位ほど、賃金が低い傾向に

次は、情報サービス企業の多重下請け構造に着目し、以下の「企業タイプ別」に所定内賃金を見てみましょう。

(図表2)にあるように、企業タイプ間での差は、35歳以降で現れ、いずれの年齢ポイントでも「下請型」が下位となっています。このように、今回の調査でも、多重構造の低位ほど、賃金が低い傾向にあると言えます。

IT業界の多重下請け構造はいかに!

日本の情報サービス産業、IT業界における多重下請け構造について、本ホームページの過去の記事に掲載しているので、リンクをチェック☞『IT業界の多重下請け構造はこうして生まれた!』